オーストラリア 2010年4月21日(水曜日)
準備銀、利上げ背景に「好調な輸出」[経済]
豪連邦準備銀(RBA)が6日の理事会で、政策金利を0.25%引き上げた背景が、20日に発表された議事録の内容で明らかになった。世界経済が回復基調にあり、輸出が予想以上に好調だったためという。このほか、好調な国内経済指標なども影響した。金融業界では、5月にもRBAが追加利上げを実施する可能性も高まったとの声も出ている。地元各紙が伝えた。
議事録によると、理事会では2008年の米リーマンブラザーズ破たんによる金融危機の影響で低迷していた世界経済について、先進主要国の景気は依然として“不確か”としながらも、回復基調に入ったことを指摘した。アジアでの回復が顕著で、今年は世界全体で4.0%の経済成長を記録すると分析している。
米国では、依然として住宅市場が低迷しているが、労働市場の改善がみられる。中国では1〜2月に高成長を記録。日本の経済指標も回復基調を見せ始めたという。
また、豪州国内の好調な経済指標も4月の利上げ決定を後押しした。失業率が09年中旬から改善傾向が続いていることに加え、3月に発表された昨年10〜12月期の国内総生産(GDP)が前期比0.9%増、前年同期比2.7%増と、2年前の水準に回復するなど、経済指標は好調を示した。
このほか、RBAでは住宅価格の上昇に警戒しており、価格上昇の抑制策としての利上げだったとの見方もある。建設業界では人材不足が問題になっており、供給量が需要に追いついていないことが、住宅価格を押し上げているためだ。依然として金利水準は、数年前の高金利からすれば低い水準で、住宅購入者は増え続けているという。
金融業界では、今回の議事録を通じ、RBAが5月にも追加利上げを実施する可能性が高まったとの見方も出ている。世界経済が回復基調を示したことで、RBAがこれまで考慮してきた「世界経済の動向」を警戒する必要性が薄れたことから、国内経済の状況を利上げの判断基準とするからだ。
豪州の政策金利は、08年3月に7.25%を記録。その後、金融危機の影響で、利下げを断行した。08年9月に7.0%、10月に6.0%、11月に5.25%、12月に4.25%、昨年2月に3.25%、4月に3.0%にまで低下。
ただ、昨年下半期(7〜12月)には景気が回復基調にあることを理由に利上げを実施した。昨年10月から3カ月連続でそれぞれ0.25%引き上げ、12月には3.75%。今年2月には3カ月連続の利上げの動向を見守るために金利を据え置いたが、3月と4月にはそれぞれ0.25%引き上げて現在は4.25%にまで上昇している。
豪証券取引所(ASX)の主要指標となるS&P/ASX200指数は20日、前日比10.7ポイント(0.22%)高の4925.8、オールオーディナリー指数も同10.1ポイント(0.20%)高の4949.5で引けた。
■投資・事業環境は良好
また、格付け会社ダン&ブラッドストリート(D&B)が世界193カ国・地域を対象に実施した調査では、豪州の投資・事業環境を「安全」とする最高ランクに位置付けた。このほか、カナダ、ノルウェー、スイスが同ランクだった。
D&Bによると、豪州は小売り、主要商品、住宅価格が上昇するなど、順調に経済回復している。ナショナル・オーストラリア銀(NAB)が来年のGDP成長率をプラス4.25%と予測するなど、投資・事業環境としては良好という。
ただ、D&B側では、豪州の経済成長のペースが、来年は今年に比べ緩やかになるともみている。好調な豪州経済の背景には、経済成長著しい中国向け輸出があるからだ。中国のGDP成長率は今年1〜3月期に前年同期比でプラス11.9%を記録したが、今後も高水準が続くとはみていないからだ。
資源ブームで中国輸出が急増している豪州。中国経済の動向が大きく影響することは間違いない。世界各国・地域の動向を細かく分析した上で、今後の豪州経済の動向を見ていく必要もありそうだ。