オーストラリア 2010年5月4日(火曜日)
資源業界、北部経済圏の設立提言[資源]
資源ハンコック・プロスペクティングのラインハート社長が主導する資源業界グループがこのほど、北部に経済圏の設立を求める提言書を発表した。豪州経済の長期的な競争力維持に向けて、西オーストラリア(WA)州北部、北部準州(NT)、クイーンズランド(QLD)州北部をまたぐ「北部経済圏」の設立を訴えるものという。オーストラリアンが伝えた。
設立案には、◇資源関連の建設作業にあたる短期外国人労働者の受け入れ許可◇国内の労働人口の北部への移動を促すための、個人への税優遇措置――の2点が盛り込まれている。
提言書は、先の資源ブームの際に労働力不足による賃金高騰が起き、これが企業による長期的投資を阻害した点を指摘。今回の資源ブームでも、同様の問題が急速に表面化しつつあると警戒心を示している。
こうした懸念を払しょくする1つの方法としてラインハート社長らは、開発プロジェクトの建設段階において短期労働者を受け入れることで、まずは労働力不足を緩和できると提案。また、個人への税制優遇措置は居住環境の厳しい北部への労働人口の移動を促進し、これによって都市部の人口増や土地価格の上昇も防げるとしている。
提言書はまた、先ごろ明らかにされたリオ・ティントと中国のアルミ大手チャイナルコ(中国アルミ業公司)による、西アフリカ・ギニアのシマンドゥ(Simandou)鉄鉱山共同開発にも言及。豪州資源業界が費用対効果を維持できなければ、業界への投資は今後も海外市場に流れていくだろうとの懸念を示している。
ラインハート社長は業界グループ結成の理由として、豪州経済の長期的ビジョンを形成するためと説明。グループには主にWA州の資源関連会社の役員らが多数参加し、定期的に話し合いの場を持っているという。
同グループには石油大手ウッドサイド・ペトロリアムのボルト最高経営責任者(CEO)も参加しているが、今回の提言書に関しては、低賃金での外国人労働者の雇用につながる恐れがあるとして、共同署名は行っていない。
このほかにグループに参加しているのは、◇WMCのモーガン元CEO◇建設レイトン・ホールディングス傘下ティース(Thiess)のサキセルビー社長◇CBHリソーシズのプライマー役員――など。
■石炭積出港も開発
一方、ハンコックとBHPビリトンはこのほど、QLD州北部アボットポイント石炭積出港の拡張計画の優先開発・運営業者に選ばれた。
同港の石炭輸出能力を現在の倍となる年間3,000万トンに引き上げる計画。これとは別に、BHPとハンコックはそれぞれ自社のターミナルの処理能力を年間3,000万トンから5,000万トン、5,000万トンから6,000万トンに増やす権利を与えられる。
QLD州政府は、既存のアボットポイント石炭ターミナルについて99年間の長期リースを提供する方針。今年後半にも売却手続きが進められるという。
同州政府は先月、北部の石炭運搬用鉄道インフラ整備計画を予定通り推進する考えをあらためて表明。ボーエン盆地のグニエラ(Goonyella)とアボットポイントを全長219キロメートルの貨物鉄道で結び、州内のほかの石炭出荷ターミナルの負荷を軽減する。鉄道インフラの整備と合わせ、アボットポイントのターミナル拡張計画に総額8億1,800万豪ドルを投じるとしていた。
資源ブームを背景に、豪州北部地域が活性化し始めている。WA州からNT、QLD州に至る北部経済圏が構築されれば、貿易量が増加している東南アジア諸国連合(ASEAN)を含めたアジア諸国との関係強化にもつながる。将来的に北部地域が、豪州経済に与える影響が大きくなる可能性もありそうだ。